2022-12-09から1日間の記事一覧

野薔薇と伏黒(私のかわいいお人形)

「プチプラだけど評判のビューラー買ってみたから試させなさいよ」 伏黒がぼおっとコーヒーを飲んでいると、釘崎が何か光るものを手に持ちながら横に立った。当たり前だが金槌ではない。何か華奢なものだ。 「プチプラ?」 あまり聞きなれない言葉に伏黒は聞…

自白

恵の中学の制服が届き、試しに着てみようという話になったときに、着替えるために晒された恵の肌に欲情をした自分に驚いた。 子供だと思ってた恵に、欲を持ったのだ。 それなりにやんちゃをしたこともある。 だが、もう気づいてしまえば僕の世界は恵一色で …

慈愛

俺と五条先生は、付き合っている...らしい。 らしいというか、付き合ってはいるのだが、なぜ五条先生のような人が俺を見てくれるのか、理由がわからない。 大切にされている、とは思う。これ以上にないほどに。 幼少からの付き合いで、その延長戦かとも思っ…

毒を片手に、物語はいつだってハッピーエンド(こんな感じのが書きたい散文)

五 9年間の積み重なった思い 恵 何となく自分の好意に気づく 諦めるでも先生かまってくるぐるぐる虎杖と野薔薇も来て、自分だけの先生じゃないことに気づくでも先生は恵の 「ねー硝子聞いてよ!恵ったらまた悠仁と野薔薇とお出かけだって!!」 「良いことじゃ…

不慣れな手

「リーダーのお帰りだー!」 そう叫ぶ船員の声が高らかに響く。わっと船内が賑やかになる。この船の主役でもあるユイシアが、連れ立った仲間と共に陸での調査から 帰ってきたのだろう。 専らスノウが一人になれて良いと好んでいる場所から、その様子を見た。 …

正常と異常の風景・おままごと

その日は、ユイシアが出かけてから、ずっと押し殺した様な感情が扉の向こうから漂っていた。何かが起こるかもしれないし、起こらないかもしれないだが、期待感で胸が高鳴るような何とも表現のできない高揚感で、ぞくぞくとした怖気が朝から止まらなかった。 …

正常と異常の風景

パタンと扉が閉まる。 「.........ふぅ」 小さく鍵のかかる音がして、それまで浮かべていた笑顔を消して、僕は溜息を吐きつつベッドに腰掛けた。 朝だといっても船内の一室である部屋は、 紋章球の光が無ければ真っ暗になってしまう。 だが、掃除も行き届き…

主人とおもちゃ箱と犬

主人とおもちゃ箱と犬 枕元の時計から、一日のはじまりのベルが鳴った一音目ですかさずベルを止めて、ぼくはううーんと思いきり伸びをする船の中の部屋だから、朝が来てもまぶしいという事は無いけれど、ぐっすり眠って起きると、とても気持ちがいい。 ゆっ…

乙女

秀にはアイスコーヒー、僕はミルクティー 「秀のコーヒーちょっとちょうだい」 ふたり別々のものを頼んだのだから、半分こも楽しいよコーヒーの苦味も、ミルクの甘さも一緒に でも、むっとした顔をするから、慌ててコーヒーに伸ばした手を止めるそうか、僕だ…

暗闇

冷房をずっとつけているわけにもいかず、1階ではないからまあいいかと窓を開け熱風と、それに混じる静かな夜の空気の気持ち悪さに眠るのを苦労していると、喉の渇きを覚え、部屋の電気をつけてキッチンに向かった 大気や地を切り裂くような勢いで、雷が鳴り…

むずむずする

ちょっとした息抜きの旅行を仲間達で馬鹿騒ぎをしながら楽しんだ数日後ユキヒトの鞄に俺の物が紛れ込んでいたとかで連絡を受けそれならと、俺はユキヒトがアキラと共に住む部屋に出掛けていった。 紙やら日用品やらが床に散乱している汚ねえ奴等の部屋の、辛…

どこまでも残酷になれる気がした

崎谷 紫 由宇希蒼一 楓 襲われた受け 崎谷攻めの謝罪 酒酔ってなんかいなかった今だったら解る信頼を裏切った 何でもする女と付き合え 「ごめん...」でも、あの女とやったんだろう?「だって...崎谷が......崎谷がしろっていったから...」俺の事が好きなくせ…

微笑

アキラの理性が壊れるには時間は掛からなかった。元々、快楽と痛みに弱い愚かなカラダをしていたのだ。シキは只切っ掛けを与えただけでしかない。鬱屈したトシマでの苛立ちと退屈さへの憂さ晴らしの様な、簡単な遊びの道具だったが、ここまでアキラという人…

王様

全ての王様全ての支配者ガタクタのお城の真っ赤なおめめの我儘坊や 「シキ……」遠征から帰って来たシキを後ろから抱き締める。余程手応えが無かったのか、燃え盛るでも無く、トロトロと燻る炎がまだシキの身体の中にある様。 折角の綺麗な顔なのに…。憮然とし…

ぬくもり

きっと長い間一緒にいる俺らは、既に家族なのだろう。 ただ、俺が理解出来ないだけで。 トシマを脱出して、源泉と逃げる様に転々と居場所を変えながら、暮らし初めて、如何に自分の見ていた世界が小さかったのかと実感した。 これでは、ガキ扱いをされて当然…

すきなのは純白

「不二君、僕は貴方に会えてとても幸せだと思いますよ」 「どうしたの観月、急に」 「だからね不二君」 「いつまでも僕の顔色を伺うような、鬱陶しいおどおどした瞳で見るのはおやめなさい」 あの試合でプライドを木っ端微塵に叩きのめされたのは僕なのに一…

きみに恋してる

命拾いしたね、観月にこりと笑った ●きみに恋してる 休日の予定を聞いたら他校に行ってデータ収集だというから、無理矢理僕もついてきた。だってそうでもしないと平気で何日も会えないのだもの。観月は薄情だ テニスをしていない僕など何の価値はないと、会…

無邪気さでとどめをさす

ゆうしにはおしえてやるよ 内緒だからな? 最近やったドラマの話だったか何だったか、流れは良く思い出せない。よく喋る岳人の話題はどんどん変わっていくから。こちらは声を聞きながら相槌を打ってやる そう、もしかしたら岳人の友人の誰かに彼氏が出来たと…

かたこい。

「柳生、すきっていったらどーする」「ならば私の前から消えてください」 「......」「......」 「嘘じゃ、じょうだんじゃよ」「......」 「それならその涙を止めてください。まるで私が苛めているみたいじゃないですか」

かけひきは無用

笑い飛ばして終わりの冗談のような始まりで付き合いはじめた。軽いきっかけ、軽い言葉。場所なんて下校するやつらのざわめきが聞こえる学校の廊下普通の話のついでみたいに。 柳生はいつものように飽きるまでの詐欺師ごっこに巻き込まれたと 思っているのだ…