かけひきは無用

笑い飛ばして終わりの冗談のような始まりで付き合いはじめた。
軽いきっかけ、軽い言葉。
場所なんて下校するやつらのざわめきが聞こえる学校の廊下
普通の話のついでみたいに。


柳生はいつものように飽きるまでの詐欺師ごっこに巻き込まれたと

思っているのだろう
最初に見せた苦笑いが今でも思い出されるから。

 

それでも
柳生は返事をした

───おつきあいをしましょう、と。

 


冗談のような始まり
友人の戯言に付き合ってやろうというお優しい性格からくるもの
......柳生にとっては。

でも俺にとってはチガウ

 

ぺらぺらと言葉を出して間が空かないようにする
この時間が終らないように
つまらない、退屈だと思われないように。


俺のことをちょっとでも望んでもらえるように
柳生に望んでもらえるように、柳生に、柳生に

 

 

「ねえ、仁王くん」

「そろそろご安心ください」


「私、あなたのことをとても好きですから」