五伏

ファーストキス

疲れて帰宅をした部屋には、天使がいた。 ソファに、くうくうと眠る恵を見て、驚きのあまり使っている目隠しを破ったほどだ。 布が床に落ちる音がたつのすらも許せなくて、 慌てて空中で回収した。 恵には、鍵を渡してあるからこういうこともありえるのだが…

番犬には飼い主が必要

人混みから、ようやくお目当ての人物の姿が見え、五条は安堵した。迷子になったのかと心配した。 五条さんは目立つから俺が行きます、と慣れた手つきでクレジットカードを手にして恵が公園内にある有名カフェチェーンに向かってから数刻が経っていた。 座る…

ロマンはひとそれぞれ

会った時からどこかそわそわしている五条に、伏黒は気づいていた。 そして、何故か今お互いソファに正座をしている。 伏黒はともかく、五条は窮屈そうだがそれどころではないらしい。 「伏黒恵さん、男のロマンというものをご存じでしょうか?」 「あんた、突…

ハローハロー、ワンダーランド

「恵抱き枕があったらいいなぁ。」 また、変なことを言い始めた。 3日ぶりに会った五条先生の顔には、声は普通でもありありと疲れの色があった。 その顔を見て、出直そうと思ったが、 恵がいなくちゃ始まらないじゃん!!と力強い腕に抱きしめられて ソファに…

先生あのね

体重が1Kg増えた。 これは、伏黒恵にとって一大事だった。 どれくらいだったかというと、体重計の前で下着姿で5分間立ち尽くした後、おもむろにゆっくりと腕を上げ、力強くガッツポーズをするくらい一大事だった。 食べても中々増えない体重と、筋肉だったが…

いとしいあなた

五条先生の任務に着いていった。 無事に呪霊は祓われたが、遠い場所だったため日帰りではなくホテルに泊まることになった。 「同室が良いです。」 ホテルの入り口で、ぼそりと呟く。 五条先生は非常階段のマークのような姿勢で止まった後、何故か深呼吸をし…

きっとこれは人生で最低な一日

あたたかいものは、常にあった。 誰も来ない授業参観日に、あのひとが来てくれた時。 津美紀とあのひとと3人で食卓を囲んだ時。 季節の変わり目に風邪をひいたときに、焦るあの人の声と落ち着いた津美紀の声。 中学の制服が見たいと試着に付き合ってくれた時…

あなた以外ふれてほしくないの

無事に任務は終わった。 だが、ひとつだけイレギュラーなことがあった。 「あんた!!変なものを消してくれたんだろう!?」 大柄の男性が、こちらへ向かってくる。 視えはしないが、何かを感じていたのだろう。 「感謝する!!」 そう大声で叫ぶと、いきなり俺の…

カワイイヒト

「五条悟」は可愛いと思う。 そんなことを人に言ったのなら、熱でもあるのかとか正気かとか言われそうだが。 確かに、性格は悪いし、言動は軽いし、子供っぽいし、 何かがあっても、すべて自分で抑え込んで面には出さない。 スマートな大人だけれど。 俺にと…

あなたが一番好き

年上の高校教師と、教え子の淡い恋を描いた作品。 その題材から当時問題作ともいわれて話題になっていた。 「最後、お互いのためとかいって別れちゃうんだよー!!」 「俺もその映画見ようと思ってたんですが。」 何盛大にネタバレしてくれてるんだ。 腰にしが…

ときめきにゃんこパラダイス

「恵知ってる?猫カフェっていうのがあるんだよ。」 突然、五条先生がタブレットの画面をこちらに向けてきた。 任務を確認していたんじゃなかったのか。 少し呆れつつ、言われた言葉に答える。 「猫...カフェ?」 タブレットには、ファンシーな言葉とたくさん…

これは愛だ

俺にとって必要な手を、目の前の男が優しく触れる。 危機感はない。 この人が俺の手を害することなどありえない。 「恵の手は大切だからね」 指を一本一本確認するように、大きなあたたかい指で触れられる。 それを黙って見ていると、突然焦ったように、 「…

自白

恵の中学の制服が届き、試しに着てみようという話になったときに、着替えるために晒された恵の肌に欲情をした自分に驚いた。 子供だと思ってた恵に、欲を持ったのだ。 それなりにやんちゃをしたこともある。 だが、もう気づいてしまえば僕の世界は恵一色で …

慈愛

俺と五条先生は、付き合っている...らしい。 らしいというか、付き合ってはいるのだが、なぜ五条先生のような人が俺を見てくれるのか、理由がわからない。 大切にされている、とは思う。これ以上にないほどに。 幼少からの付き合いで、その延長戦かとも思っ…

毒を片手に、物語はいつだってハッピーエンド(こんな感じのが書きたい散文)

五 9年間の積み重なった思い 恵 何となく自分の好意に気づく 諦めるでも先生かまってくるぐるぐる虎杖と野薔薇も来て、自分だけの先生じゃないことに気づくでも先生は恵の 「ねー硝子聞いてよ!恵ったらまた悠仁と野薔薇とお出かけだって!!」 「良いことじゃ…