咎狗の血

むずむずする

ちょっとした息抜きの旅行を仲間達で馬鹿騒ぎをしながら楽しんだ数日後ユキヒトの鞄に俺の物が紛れ込んでいたとかで連絡を受けそれならと、俺はユキヒトがアキラと共に住む部屋に出掛けていった。 紙やら日用品やらが床に散乱している汚ねえ奴等の部屋の、辛…

微笑

アキラの理性が壊れるには時間は掛からなかった。元々、快楽と痛みに弱い愚かなカラダをしていたのだ。シキは只切っ掛けを与えただけでしかない。鬱屈したトシマでの苛立ちと退屈さへの憂さ晴らしの様な、簡単な遊びの道具だったが、ここまでアキラという人…

王様

全ての王様全ての支配者ガタクタのお城の真っ赤なおめめの我儘坊や 「シキ……」遠征から帰って来たシキを後ろから抱き締める。余程手応えが無かったのか、燃え盛るでも無く、トロトロと燻る炎がまだシキの身体の中にある様。 折角の綺麗な顔なのに…。憮然とし…

ぬくもり

きっと長い間一緒にいる俺らは、既に家族なのだろう。 ただ、俺が理解出来ないだけで。 トシマを脱出して、源泉と逃げる様に転々と居場所を変えながら、暮らし初めて、如何に自分の見ていた世界が小さかったのかと実感した。 これでは、ガキ扱いをされて当然…