きみに恋してる
命拾いしたね、観月
にこりと笑った
●きみに恋してる
休日の予定を聞いたら他校に行ってデータ収集だというから、無理矢理僕もついてきた。
だってそうでもしないと平気で何日も会えないのだもの。
観月は薄情だ
テニスをしていない僕など何の価値はないと、会う必要は無いと言わんばかりに。
今だって横にいる僕の事はずっと無視で、目の前のコートに立つ選手たちを
食い入るように見つめている。
そう、まっすぐ
時折微笑を浮かべて。
あぁ、一緒にいるのは嬉しいのになんてつまらないんだろう
折角観月といるのに、真っ暗闇にひとりぼっちになったみたいで
むかむかしてくる
視線は合わない
僕は観月を見つめているのに
いっそうの事
片手で掴めるような真っ白で細い、その
首の骨を折って
こちらに向かせてしまいたい
そう思ったらドキドキしてきて、楽しくてしょうがなくなった。
ゆっくりと右手を観月の首の裏側に近づけ...
「何ですか、不二くん?」
こちらをずっと見てよく飽きませんね、なんて。
訝しげな表情だけれど、でも。
こっちを向いてくれたから
よかった、ちょっと残念な気持ちがあるのが怖いけれど観月の瞳に僕が映ってる
なんだか一気に満足しちゃった。
観月もよかったね
「ねぇ観月。気がすんだら美味しい紅茶でも飲みに行こうよ」