ときめきにゃんこパラダイス


「恵知ってる?猫カフェっていうのがあるんだよ。」

 


突然、五条先生がタブレットの画面をこちらに向けてきた。


任務を確認していたんじゃなかったのか。

 

少し呆れつつ、言われた言葉に答える。

 


「猫...カフェ?」

 


タブレットには、ファンシーな言葉とたくさんの猫が映っていた。

 

 

「入場料金を払うと、そこで飼われている猫と触れ合えるみたい。」

 


「みたいって...。先生は行ったことないんですか?」

 


「ない!恵が良いなら行きたいなぁと思ったんだよね。」

 

 

俺が良いならといいつつ、それは違うだろうと考える。


五条先生ひとりなら、興味がないはずで。

 

きっと動物が好きな自分のために情報を探してきてくれたのだろう。

 

 


「.........行ってみたいです。」

 

「よーしっ!デートだね。」

 


わーい!と両手を上げて喜ぶ五条先生に、いたたまれなくなった。

 

 

 


五条先生が受付をしていれるのを待ちつつ、店内を見渡す。

 

 

すでに数組のお客さんが、猫と戯れている。

 

その他にも、猫用のタワーのようなもので遊んでいる猫、丸まって眠っている猫。

 


どこを見ても、猫。

 

 

猫といえば本やテレビで見たり、たまに野良猫を見かける程度の伏黒にとっては

圧巻の室内だった。

 

 

「恵、はいこれ。猫のおやつと猫じゃらし。」

 

 

 

 

 

「可愛いですね...。」

 

手からじかにおやつを食べる猫に感動する。

 

 

「ほんと、可愛いねー。」

 


ふと顔を上げると、優しい瞳と目が合う。

 


...目が合う?

 


「五条先生、猫見てます?」

 


「うん。ちゃーんと見てるよー。カワイイ、カワイイ。」

 


それにしては、視線を感じたのだが...と思いつつも、また近づいてきた違う毛色の猫の

愛らしさに夢中になる。

 


「本当、可愛い。」

 

優しい声が響く。

 

触れるぬくもりとは別に、心が熱くなった。

 

 

 


「今日はありがとうございました。」

 

猫との触れ合いに満足をしたのか、少し頬を赤らめつつぽそぽそと感想を言う。

 

そんな恵が可愛らしい。

 

最近任務続きで、少し疲れた顔をしていたから


リフレッシュができたようでなによりだった。

 

初めは猫に興味はなかったが、恵が猫と戯れているのは可愛いと思えたし、


時間がきて名残惜し気に猫の頭をそっとなでる姿に、


またすぐにでも連れてこようと思った。

 


「猫、可愛かったねー。」

 

「はい。たくさんの猫がいてすごかったです。」

 

力強く返事をする恵が可愛い。

 

 


「でも、」

 

恵は僕の髪の毛や目を見ると、ぽつりとつぶやいた。

 

 

「白いふさふさの大きな猫が、五条先生に似ていて一番かわいかったです。」

 

 

 


ノックアウト!